開業事例

佐藤泌尿器科クリニック

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佐藤泌尿器科クリニック

開業タイプ 新規開業
科目 泌尿器科・女性泌尿器科・内科
所在地 〒861-0514 熊本県山鹿市新町204
TEL TEL:0968-41-5357
URL https://sato-uro.jp/

インタビュー

開業のきっかけは何でしょうか。

自宅の裏に父の医院がある環境で育ち、子どものころから医師の仕事を身近で見てきました。19床の有床診療所で、家族で旅行に行っても、患者さんが急変したため父は帰るということもありました。中高生のころはほかの道に進むことも考えましたが、最終的には医師の仕事にあこがれ、医学部に進学しました。

父は消化器外科が専門でしたが、私の専攻は自由に決めさせてくれました。熊本市民病院での研修時、泌尿器科の指導医が腕もよく、優しく、患者さんに寄り添う方だったので、この先生にあこがれたことと、泌尿器科では外来、手術から看取りにいたるまで医師としてすべてに関われることに魅力を感じ、泌尿器科を選択しました。
しかし、熊本大学泌尿器科入局直後の2009年、父が60歳で急死。すぐにあとを継ぐには私は未熟すぎると考え、閉院する決断をしました。それでも、いつかは生まれ育ったこの地で開業したいと考えていました。

佐藤泌尿器科クリニックのイメージ
院長 佐藤 誠 氏

閉院後は賃貸医院として建物の利用者を募集しましたが、なかなか借り手は見つからず、固定資産税を払い続ける状況が続きました。母は熊本市内の開業医の娘で、私の開業に賛成してくれていましたが、熊本市内での開業もいいのでは、と話していました。しかし、私は人口が多い熊本市内ではなく、生まれ育った山鹿で開業し、自分のやれる範囲で、長く地域医療に貢献していきたいと考えていました。

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父親の医院をリフォームした明るい雰囲気の待合室。

幸い医局も私の考えを尊重してくださり、16年から、地元の山鹿市民医療センターに勤務することになりました。ここで何年か勤務した後に開業する計画で、知り合いの建設会社と医院のリフォーム計画を少しずつ準備していましたが、開業の時期が本当に決まったのは開業前年の17年10月で、そこから翌年5月の開業に向けて急ピッチで準備に取り掛かりました。準備といっても、まず何から取り掛かればいいのかもわからず、知り合いに紹介いただいた総合メディカルに相談しました。

開業までにどのような準備をしましたか。

開業すると決めたものの、何をすればいいのか、どのような準備をすればよいのか分からないため、まず同社の開業セミナーに参加しました。
また、少し前に開業された先輩の先生にお話をうかがう機会も設けました。特に同規模同科開業の先生の話はとても役に立ちました。

開業準備を始める時点で、私が経営・お金のことに関して、あまりにも無知だったこともあり、コンサルタントの言いなりに事が進んでいくのではないかと心配していました。けれども総合メディカルの担当者には、「あまりお金をかけないで良いものを」という私の希望に沿って提案していただきました。必要な書類や融資交渉、医療機器選定、薬局誘致、スタッフ募集など、本当に1から10まで教えていただきました。

また開業の1ヵ月前まで勤務していたため、コンサルなしでの開業はとても考えられませんでした。
人生における大事な分岐点に信頼できるパートナーと出会えてよかったと今でも思っています。開業して3年経過した現在でも、困ったときに相談に乗っていただいたり、定期的に連絡をいただき、公私ともにお世話になっています。

どのようなクリニックを目指していますか。

地域の皆様が、相談しに来てよかったと思えるようなクリニックを目指しています。泌尿器科というと、少し受診しにくいイメージがあると思います。本当に悩んで受診される方が多いので、その方々に満足して帰っていただきたいと思っています。

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プライバシーや羞恥心に配慮した接遇を心がけている。

そのために患者さんの訴えをしっかりと聞いて、わかりやすい説明をするよう心がけています。
また、プライバシーや羞恥心への配慮はスタッフ全員で特に気を配っています。こちらは毎日、何人もの患者さんと接していますが、受診してくる患者さんにとっては初めての受診であり、緊張して受診されてくるわけですから、自分が患者だったら、自分か親の付き添いで受診したらどう思うかなど、患者さんの気持ちになって考える、対応するよう心がけています。
「また受診しよう」「知り合いに勧めてみよう」と思われるクリニックになるためには、単に病気を治すだけではなく、さらに付加価値が必要です。当院は、女性が受診しやすいように「女性待合室」を設けています。女性待合室は仕切りを設け、男性は入れないようにしています。女性は特に泌尿器科は受診しづらいと感じる人が多いため、不安を取り除くことが大事だと思います。

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患者さんの緊張を取り除くよう丁寧に対応する受付。

接遇を丁寧に、雰囲気を大事に、真摯に悩みに寄り添うことを実践し、「ほかのクリニックとは少し違うな」と思われるクリニックを目指しています。

そのためにも日頃からスタッフでアイデアを出し合うなど患者さん目線を大切にしています。
雨が降っているときは、小さなタオルを受付に置き、自由に使っていただくなど、小さなことを積み重ねています。

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検査中、患者さんの不安に寄り添うように看護師が声をかける。
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女性に配慮した待合室。スクリーンを下ろして使用する。
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患者さんの気持ちが和むよう、スタッフでアイデアを出し合う。

開業から3年。クリニックの現状はいかがですか。

少しずつですが、受診される患者さんが増えているのを実感しています。1年目は外来は1日20人程度でしたが、今は1日40~50人に増えています。男性7割、女性3割という内訳です。
新規患者さん一人ひとりに丁寧に対応することでロコミで評判が広がっていると思います。

父が外科・内科をしていたこともあり、また山鹿市の医療状況的にも、いわゆる町医者としての役割を求められることも多くなってきています。特に高齢の方は1カ所のクリニックで「何でも診てほしい」というニーズも高いため、自分のできる範囲で内科診療も始めました。生活習慣病など一般内科の診療もできるよう、自分で勉強したり、勉強会に参加したり、門前薬局の薬剤師の先生とも相談しながら、日々研さんしています。

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患者さん一人ひとりへの丁寧な対応を実践する看護師、事務スタッフ。

また、時間の許す限りで、患者さんのちょっとした体調の不安にもなるべく耳を傾けるよう努めています。

自分で対応困難な症例は、以前勤務していた山鹿市民医療センター、くまもと県北病院、熊本市内の基幹病院と連携させていただいています。
また、医師会などでの活動を通して、近隣の病院や内科開業医の先生方との連携も進んでおり、泌尿器科疾患の患者さんを紹介していただいています。
今後は、患者さん向けの講演会や、介護施設職員さん向けの排尿障害の勉強会などの提案も考えていきたいと思います。これからも、泌尿器科をメインに、内科など幅広く診療しながら、地域医療に貢献していきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症の影響は、泌尿器科ということもあり、あまり大きくはありませんでしたが、近隣でクラスターが発生した際は受診控えがありました。現在は自院でワクチンの個別接種を行いながら、休日などを利用し、山鹿市の集団接種にも参加しており、少しでも早く収束するよう微力ながら頑張っています。

今後の目標を教えてください。

まずは待ち時間対策が直近の課題です。
待ち時間をできるだけ短くするため、スタッフと協力しながら業務の効率化を図り、また、待ち時間をできるだけ快適に過ごしてもらえるよう、何らかの工夫が必要だと考えています。また、リフォームでの開業であったため、待合室や駐車場が狭い、出入口付近の雨除けが小さいなど、設備上の問題点もあります。施設内外のバリアフリー化など、改良して利便性を高めたいと考えています。

将来的には在宅医療もやってみたいと考えています。在宅医療については、地域の開業医の先生方と力を合わせて取り組めるといいと思います。

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「患者さんの訴えをしっかり聞き、わかりやすい説明を心がけています」と語る佐藤誠院長。

これからの目標としては、事業の拡大などはあまり考えておらず、とにかくクリニックを受診してくださる患者さん一人ひとりにこれまで同様に丁寧に対応し、より地域に必要とされるクリニックになることです。個人の希望としては、いつかは子どもたちと一緒に仕事がしたいと思っていますが、子どもたちにもそれぞれの人生がありますから、そこはわからないですね。

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